フランス地方菓子ビューニュとはどんなお菓子か、材料や購入先、歴史や同じ種類のお菓子を詳しく紹介します。
フランス地方菓子ビューニュとは?
ビューニュとはベニエ(Beignet)という揚げ菓子の一種です。主に、リヨンやサンテティエンヌなどのローヌアルプ地方、さらにはグルノーブルやフランシュコンテ、オーベルニュ地方、プロヴァンス地方で食べられている揚げ菓子です。
小麦粉、砂糖、卵、バター、酵母で作った生地を油で揚げて作り、昔からカーニバル時期に食べられていました。現在でも1月末頃から3月までのカーニバルを含む時期に食べています。
[フランス語名]
ビューニュ Bugne / une bugne
リヨンのビューニュ Bugne lyonnaise
ビューニュの種類
ビューニュには、薄く伸ばしたパリパリタイプ(Craquantes / Sèches)とこんにゃく結びのふわふわタイプ(Moelleuses / Molles)の2種類があります。
パリパリタイプは生地を薄く伸ばし、長方形に切り、油で揚げて粉砂糖を振りかけて作ります。さくさくとした食感です。生地をルーレット(回転歯車)で切っているためビューニュの端に歯車のようにギザギザがついていることから「拍車のビューニュ(bugnes à l’éperon)」とも呼ばれています。
ふわふわタイプは生地を厚めに伸ばし、ひし形に切り、真ん中に穴をあけ、その穴に生地の端をくぐらせて作ります。結びこんにゃくのような形です。食感はフワフワとしています。
ビューニュの材料
分類 | パティスリー/ベニエ |
構成 | ベニエ生地 |
材料 |
|
ビューニュのフランスでの購入先
ビューニュは主にローヌ・アルプ地方のブーランジュリーやパティスリーで、1月末〜3月に作られています。ふわふわタイプもパリパリタイプもどちらも量り売りされています。100gあたり3〜5€ほどです。
フランス地方菓子ビューニュの歴史
ビューニュ(Bugne)という言葉は、ベニエ(揚げ菓子)を意味するbugniというリヨンで使われていた古いフランス語に由来しています。
ビューニュの起源は古く、古代ローマ時代からカーニバル時期の特別な食べものでした。このお菓子を食べるのはカーニバル(謝肉祭)の最終日です。
このカーニバルの時期が終わると、キリスト教では四旬節と呼ばれる40日間の禁欲生活が始まります。この期間は「1日1度だけの食事」や「肉や卵、乳製品は食べてはいけない」という厳しいきまりがありました。
四旬節を迎える前に盛大なお祭り(カーニバル)を開きます。そのお祭りの終わる日がマルディ・グラで、断食の始まる前にたくさんのごちそうを食べていました。ごちそうをたべて、断食期間を乗り切るっていう感じだったんでしょう。
断食を乗り切るため、保存のきかない食材を使い切るために、卵を使って高カロリーな料理を食べていました。そのひとつがビューニュです。
リヨンのビューニュ
ビューニュはビューニュ・リヨネーズ(Bugnes lyonnaises)が最も有名です。
リヨンのビューニュは古くから食べられています。16世紀には、サン=ピエール修道院(Saint-Pierre)で作られました。
1538年にはリヨンのビューニュについて言及された文書がありました。これがリヨンのビューニュについて最も古い文献です。
ビューニュは伝統的にリヨンでは断食期間の最初の日曜日に食べられていました。そのため、「日曜日のビューニュ」とも呼ばれていました。ビューニュはシャルキュトリー(食肉加工品業)によって作られ、日常的に通りや定期市などで売られていました。
昔、ビューニュの材料には牛乳やバター、卵は加えず、小麦粉にビール酵母、または水に溶かした穀物で生地を作っていました。王冠状に成形し、油で揚げます。生地にバラ水を加えることもありましたが、当時は小麦粉に酵母を加えただけのシンプルな生地でした。当然甘味もなく、お菓子というよりかは食事や主食のひとつだったのかもしれません。
19世紀に入ると材料が手に入りやすくなってきたため、生地にバターや卵、砂糖を加えました。現在のビューニュとほぼ同じものになってきました。さらに、リヨンで有名な料理人であるメール・ファヨール(mère Fillioux)はビューニュをオリーブオイルで揚げていました。
現在では、リヨンのビューニュはオレンジ花の水、コニャック、ラム酒、レモンの皮で香り付けした発酵生地(発酵生地でない場合もある)を揚げて作っています。形は様々なものがあり、長方形や菱形、結びの形があります。長方形のビューニュはオレイエット(oreillette)とも呼ばれています。
今ではビューニュは2月中にリヨンだけでなくローヌ・アルプ地方全体で食べられています。リヨンでは1月末から3月いっぱいパティスリーに並んでいます。マコン(Mâcon)のワインやシャンパーニュと相性が良いと言われています。
ビューニュと同じ種類のお菓子
ビューニュはベニエ(Beignet)の一種で、ベニエは揚げたお菓子や料理のことを言います。ビューニュは地方によって呼びかたが異なりますが、同じ揚げ菓子です。
- ベニエ Beignet
- フランス南のランドック地方:オレイエット Oreillettes
- メルヴェイユ Merveille
- イタリア北部:キアッケレ Chiacchiere
参考文献
このビューニュの記事を書くのに参考にした本です。
- フランス 食の事典
- Dictionnaire de la gourmandise pâtisseries, friandises et autres douceurs
おいしい知識を手に入れよう!お菓子のレシピから学ぶフランス語講座
フランスのお菓子は世界的に有名ですが、なぜそのおいしさに魅了されるのでしょうか?
「お菓子のレシピから学ぶフランス語講座」では、フランスのお菓子作りの秘訣を探りながら、同時にフランス語を学んでいきます。
この講座では本場フランスのお菓子のレシピをフランス語で読み解きながら、フランス語を習得します。マドレーヌ、タルト、シュークリームなど、フランスでも定番のお菓子のレシピを通じて、フランス語の基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。
フランス語の勉強が初めてでも大丈夫です!当講座では基本的なフランス語表現から、食材や道具の名前、作り方までを丁寧に解説しています。おいしいお菓子のレシピを作りながら、楽しくフランス語をマスターすることができます。
フランス語を学ぶだけでなく、お菓子作りの知識も身につけることができるこの講座は、フランス語学習者とスイーツ好きな方にとって理想的な組み合わせだと思います。ご自宅で学べるダウンロード形式なので、時間や場所に制約されずに勉強することができます。
「お菓子のレシピから学ぶフランス語講座」に参加して、おいしい知識を手に入れましょう!フランス語の魅力とフランスのお菓子作りの楽しさを同時に体験し、自分自身を豊かにしませんか?ご参加をお待ちしています!
関連記事