フランス菓子ケイク・オ・フリュイとはどんなお菓子か、材料や購入先、名前の由来、同じ種類のお菓子やレシピを詳しく紹介します。
フランス菓子ケイク・オ・フリュイとは?
ケイク・オ・フリュイ Cake aux fruitsとはドライフルーツの入ったパウンドケーキのことをいいます。小麦粉、バター、卵、砂糖とドライフルーツを混ぜ合わせて、長方形の型で焼いたお菓子のことです。
ドライフルーツはレーズンが入るのが一般的で、ほかにもオレンジやレモン、イチジクなどを加えます。レシピやお店によっては、ブランデーなどの蒸留酒やリキュールを加えて香り付けすることもあります。
Cakeはフランス語でケイクと発音しますが、日本の「ケーキ」のことではなくパウンドケーキのことを指しています。
[フランス語名]
ケイク・オ・フリュイ Cake aux fruits / un Cake aux fruits
フリュイとは「フルーツ」のことで、ここではドライフルーツのことをさします。
フランス菓子ケイク・オ・フリュイの材料
分類 | パティスリー |
構成 |
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材料 |
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ケイク・オ・フリュイのフランスでの購入先
ケイク・オ・フリュイはブーランジュリーやパティスリーで購入することができます。価格は一本10€~です。30cm以上の長い型で焼き、量り売りしてくれる店もあります。
フランス菓子ケイク・オ・フリュイの名前の由来
ケイクとは本来イギリスのお菓子のことで、このパウンドケーキのようなお菓子だけでなくお菓子全体のことを指します。
Cakeは古代ノルウェー語の kaka に由来する英語で、フルーツケーキ(Fruit cake)やレーズンケーキ (Plum cake)を短縮した言葉です。
ケイクは現在では小麦粉・バター・砂糖・卵がベースで果物などを加えて作りますが、シンプルな生地なので当然昔から作られていました。
すでに古代エジプトからケイクに似た食べものを作っていましたし、同じような生地はギリシアやローマでも作られていました。大麦・バター・卵・蜂蜜・ぶどうなどを材料にしていました。現在のケイクとは材料が少し異なり、形も違いますが、ケイクのような食べものは古代から作られていました。
17世紀に南西・西イングランドの小麦を栽培している地域でケーキ(Cake)というお菓子が作られていました。最初はパン生地を作っていましたが、次第に果物とスパイスを加えパン生地を味わい深くし、ブレッドケーキ(Bread cake)と名付けていました。
その後、フランスにもこのお菓子が入ってきました。
作家であるアンヌ・ピエール・ロベールによると、フランスでケイク Cakeという言葉が使われるようになったのは1795年といわれています。
その当時、小麦粉、卵、バター、砂糖をベースとして、ギリシアのコリントス産のレーズンと果物のコンフィが含まれているお菓子のことを指していました。レーズンを加えていたため、プラムケイク Plum cakeと呼ばれていました。
レシピの推移
1900年に出版された本「パティスリーの地理と歴史の回想録 Mémorial historique et géographique de la pâtisserie」に実際に作られていたプラムケイクのレシピが書かれています。
材料は酵母を使ったパン生地がベースで、バター・砂糖・卵・牛乳・レーズン、レモンコンフィのみじん切りを加えて、ギリシャのコリントス産とトルコのシミルヌ(現イズミール)産のレーズンでした。作りかたは混ぜ合わせた生地をシャルロットの型に入れて、翌日まで寝かしておき、オーブンで焼き色がつくまで焼きます。
19世紀の有名なパティシエであるジュール・ゴッフェ氏 Joules Goufféは小さく切ったオレンジとレモンコンフィを混ぜていました。
このレシピは以前は酵母を使っていましたが、1891年にベーキングパウダーが発明されたことにより酵母を使わなくなっていきました。これが現在わたしたちが知っているケイクと同じで、20世紀の初めにはすでに一般家庭に日常的に存在していました。
ケイクの名前の変化
それまではプラムケイクと呼ばれていましたが、レーズンだけでなくほかの果物も加えるようになったことから、1970年代にケイク・オ・フリュイ・コンフィ Cake aux fruits confitsと呼ばれるようになりました。フリュイ・コンフィとは果物の砂糖漬けのことです。
さらには果物を加えないケイクもでき、ガトー・ド・ボヤジュ Gâteau de voyage(旅のお菓子)と呼ばれました。ガトー・ド・ボヤジュとは焼き菓子やビスケットなどの保存がきき、持ち運びしやすいお菓子のことで、旅行に持っていけることからこの名前が付けられました。
フランスでケイクの流行
フランスでケイクがはじめて流行ったのは19世紀後半でした。1870年頃、パリのマドレーヌ寺院のある地区にいくつかのパティスリーがあり、有名なのはミシェル、ゲール、マリオンの3店舗でした。
ミシェルは1830年にロンドンから来てリュクサンブール通り(rue Luxembourg、現在はカンボン通り rue cambon)に店を構えていました。彼はベーキングパウダーでふくらませたケイクを作り、評判を得ていました。
マリオンはマドレーヌ寺院の正面の通りのロワイヤル通り(rue Royale)に開店し、プラムケイクを流行らせました。
1990年〜2000年の間はケイクはあまり流行ることはなかったのですが、2010年代に入ると再びケイクが注目され始めました。現在のフランスでもケイクを販売しているパティスリーやさまざまなフレーバーのケイクを提供するカフェも増えています。
また、加える具材により味の変化ができるし、作るのも簡単なので、今では家庭では定番のお菓子になっています。
さらに、甘いだけお菓子としてでなく、野菜やオリーブ、ハムなどを具材にしたケイク・サレ Cake saléというアペリティフになるケイクも登場しています。こちらはトレトゥール Traiteurという総菜屋で販売していたり、簡単なので家でも作ることもあります。
ケイク・オ・フリュイと同じ種類のお菓子
フランス菓子ケイク・オ・フリュイの作り方
ケイク・オ・フリュイの作り方はこちらをご覧ください。
▶︎本場フランスのケイク・オ・フリュイの作り方
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