フランジパンとはどのようなクリームか、どのようなお菓子に用いられているか、材料や名前の由来を詳しく紹介します。
フランス菓子フランジパンとは?
フランジパン(Frangipane)とはクレーム・ダマンドにクレーム・パティシエールを混ぜたクリームのことです。クレーム・フランジパン(Crème frangipane)とも言います。
タルトに敷き込んだり、パイ生地に詰めています。例えば、ミルリトン(Mirlitons)、ピティヴィエ(Pithiviers)やガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)に用いています。
また、今日ではクレーム・ダマンドとクレーム・パティシエールを敷いたタルトの代わりに、フランジパンを敷くようになっています。
クレーム・ダマンドはバター、砂糖、全卵、アーモンドパウダーを同量で混ぜたクリームです。クレーム・ダマンドとクレーム・パティシエールを1対2で合わせて作るのが基本です。
詳しくはこちらにレシピを書いています。
フランジパンの作り方
[フランス語名]
フランジパン Frangipane / une frangipane
クレーム フランジパン Crème frangipane / une crème frangipane
昔の名称 Franchipane フランシパン
フランジパンの材料
分類 | クリーム |
材料 |
|
Gâteau à la frangipane ガトー ア ラ フランジパン
ガトー・ア・ラ・フランジパン(Gâteau à la frangipane)とはクレーム・フランジパンを詰めたフォユテ生地のタルトのことです。
サンタ=スティエ(Saint-Astier)の特産菓子で、アーモンドの代わりにヘーゼルナッツを加えています。表面に砕いたヘーゼルナッツをまぶして、粉糖を振りかけています。
サンタ=スティエはフランスの西ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏にあるドルドーニュ県(Dordogne)にある町です。
Pâte de frangipane パット ド フランジパン
パット・ド・フランジパン(Pâte de frangipane)とは、パット・ダマンドと卵とバターを合わせた生地です。パット・ダマンドとお菓子の中間にあたり、タルトレットの底に敷くのに使います。
料理人で菓子職人であるジュール・ゴッフェ(Joule Gouffé)はフランジパンをピスタチオやシトロン、チョコレートのトゥルトはもちろん、仔牛の肝臓やほうれん草のトゥルト(パイ包み)にも使っていました。
フランジパンの名前の由来
フランジパンはカトリーヌ・ド・メディシスの時代にフランスに伝わったと言われています。その由来話には様々な説がありますが、イタリアのフランジパーニ家(Frangipani)の名前から来ていることは事実として一致しています。
フランジパンはビターアーモンドのエッセンスの香りの名前から名付けられたと言われています。そのエッセンスは手袋や靴、容器、コルセットなどに香りをつけるのに用いられていました。それを考案したのはローマの王子セザール・フランジパーニ(César Frangipani)たっだそうです。
1651年、料理人ラ・ヴァレンヌ(François Pierre de La Varenne)が、フォユテ生地にアーモンドをベースにしたクレーム・パティシエールで作ったフランジパンのトゥルトのレシピを記しています。
同様に、フランシパン(Franchipane)という名称で、クレーム・ダマンドと砕いたピスタチオのトゥルトが紹介されています。(“L’art de bien traiter”)
この頃はフランシパーニ(Franchipane)と呼ばれていました。
『百科全書』(L’Encyclopédie)で『フランシパン(Franchipane)はパティシエが卵黄と砂糖、レモンの皮、オレンジ水などを合わせたクリームで作った料理』と定義しています。
19世紀、アンドレ・ヴィアール(André Viard)はフランジパンのレシピを書いています。それは『プラリネにして、粉状にしたオレンジの花』を少し加えて香り付けし、アーモンドをピスタチオに置き換えたものです。さらに、色付けるためにほうれん草の緑色を少々加え、『ビターアーモンド3粒と砂糖』を潰したマカロンとオレンジの花に置き換えたとされています。(”Le Cuisinier Impérial”)
参考文献
このフランジパンの記事を書くのに参考にした本です。
- Dictionnaire de la gourmandise pâtisseries, friandises et autres douceurs
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