フランスの地方菓子ブリオッシュ・ド・サン=ジュニとはどんなお菓子か、材料や名前の由来、同じ種類のお菓子を詳しく紹介しますね。
フランス地方菓子ブリオッシュ・ド・サン=ジュニとは?
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニ Brioche de Saint-Genixとは、丸い形のブリオッシュ生地に赤いプラリネと表面にあられ糖を飾ったお菓子のことです。
サン=ジュニとはサヴォア地方(Savoie)のサン=ジュニ・シュル・ギュイエ(Saint-Genix-sur-Guiers)という小さな町のことです。この地方で作られている地方菓子のひとつです。
サヴォアの旗の色である赤と白をイメージして、プラリネの赤色、あられ糖の白で表現されています。さらに、このブリオッシュは赤と白色の羊皮紙で包むのが伝統的です。
また、ほかの名前で呼ばれることもあります。
- ガトー・ド・サン=ジュニ Gâteau de Saint-Genix
- サン=ジュニ Saint-Genix
- ガトー・ラブュリィ Gâteau Labully
[フランス語名]
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニ Brioche de Saint-Genix / un Brioche de Saint-Genix
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニの材料
分類 | パティスリー |
構成 |
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材料 |
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ブリオッシュ・ド・サン=ジュニの種類
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニと同様に赤いプラリネの入ったお菓子はほかにもあります。いづれもローヌアルプ地方で見られる地方菓子です。
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニの名前の由来
ブリオッシュ・ド・サン=ジュニは古くシチリアのアガタの伝説に由来しています。
聖女アガタの伝説
現在のイタリアに位置するシチリアにアガタ(Agathe)という美しい女性が住んでいました。
彼女はシチリアを支配していたローマ人の権力者から目を付けられていましたが、その意に従わなかったため、キリスト教徒ということを理由に彼女を捕まえてしまいます。その拷問の中でアガタは両方の乳房を切り落とされてしまいました。
しかし、翌日にはその切り落とされた乳房が復活していました。
さらに、彼女は火あぶりにされることになりましたが、刑が執行されようとした瞬間に地震が起こり、死刑執行人が死んでしまい、彼女は刑をのがれました。
その後、1551年にオスマン帝国がマルタ島に侵攻した際に、人々はアガタに祈りをささげました。その祈りが通じマルタ島は守られ、アガタはマルタの守護聖人となりました。
切り落とされて復活した乳房から、アガタは鐘職人やパン屋の守護聖人とされています。
当時、サン=ジュニ・シュル・ギュイエ(Saint-Genix-sur-Guiers)周辺を統治していたサヴォワ家でした。そのサヴォア家が、1713年にスペイン継承戦争によりシチリア王国の王位を獲得しました。
サン=ジュニ・シュル・ギュイエに住む女性たちはこれを記念して、2月5日の聖女アガタの記念日に乳房の形をしたお菓子をつくることにしました。
サヴォアの旗の色である赤と白をつかい、乳房のような丸い形をイメージして作りました。この当時はパン生地に砂糖や蜂蜜を加えたものをお菓子としていました。赤く染めたプラリネで赤色を、砂糖で白色を表現していました。
この赤いプラリネの入ったブリオッシュはその後、あるパティスリーで作られこの地方の特産となっていきます。それがガトー・ラブュリィです。
その続きの話はこちら。
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