フランス菓子タルトとはどんなお菓子か、材料や名前の由来、タルトの焼き方の種類、名前の違い、レシピを詳しく紹介します。
フランス菓子タルトとは?
タルトとは生地で器をつくり、その器の中にクリームやフルーツなどをいれたお菓子です。フランスのお菓子といえばタルトというほど、どのパティスリーにも必ず置かれています。
タルトの種類
フランスには以下のようなタルトがあります。
- alcazar[アルカザール]スペイン由来のアプリコットのタルト
- amandine[アマンディン]クレームダマンドを詰めたタルト
- barquette[バルケット]楕円形のタルトレット
- Bourdaloue[ブルダルー]アーモンド生地と洋梨を詰めたタルト
- capucin[カピュサン]グリュイエールチーズのシュー生地を詰めた塩味のタルトレット
- clafoutis[クラフティ]ポワトーやリモージュ由来のフルーツにフラン液を加えて焼いたデザート
- conversation[コンヴェルサシヨン]
- dorine[ドリヌ]マロンクリームを詰めたタルトレット
- flammekueche[フラムクシュ]北フランスのリノー由来のフロマージュブランやチーズなどをのせたタルト
- flammenküche[フラメンキシュ]北フランスのリノー由来のフロマージュブランやチーズなどをのせたタルト(flammekuecheの別名)
- flan[フラン]
- flône[フロン]アベイロンやタルン由来のチーズのタルト
- flaune[フロン]アベイロンやタルン由来のチーズのタルト(flôneの別名)
- fra[フラ]ピュイゼイユ由来のフロマージュブランを使った塩味タルト
- fras[フラ]ピュイゼイユ由来のフロマージュブランを使った塩味タルト(fraの別名)
- fromagé[フォロマジェ]ポワトゥ由来のヤギのチーズを使ったタルト
- galette à la sucre[ガレット ア ラ シュクル]ブレス地方由来の生クリームと砂糖を加えたタルトの一種(galette bressaneの別名)
- galette au sucre[ガレット オ シュクル]アルデンヌ由来の砂糖のタルトレット
- galette bressane[ガレット ブルッサン]ブレス地方由来の生クリームと砂糖を加えたタルトの一種(galette à la sucreの別名)
- gâteau à l’badré[ガトー ア バドレ]ピカルディ由来のフラン(gâteau alle badréと同じ)
- gâteau alle badré[ガトー アル バドレ]ピカルディ由来のフラン(gâteau à l’badréと同じ)
- gâteau aux pignons[ガトー オ ピニョン]ピレネー由来のアーモンドクリームの入ったタルトレット
- imbrucciata[アンブリュシアタ]コルシカ島由来のフレッシュチーズのタルトレット
- jalousie[ジャルジー]編み編み模様のタルト
- linzer torte[リンツァ トルテ]オーストリア由来のフランボワーズジャムを詰めたタルト
- linzertart[リンツァタル]オーストリア由来のフランボワーズジャムを詰めたタルト(linzertorteと同じ)
- maid of honour[メイド オブ オノール]イギリス由来のアーモンドとレモンのタルトレット
- mendiant[マンディアン]アルザス由来のパンの入ったクラフティ
- mirliton[ミルリトン]
- niflette[ニフレット]
- pissaladière[ピサラディエール]ニース由来のアンチョビを詰めた塩味タルト
- pont-neuf[ポン ヌフ]クレームパティシエールとシュー生地を混ぜたものをパイ生地に詰めて焼いたタルトレット(talmouseと同じ)
- quiche[キッシュ]キッシュ
- talmouse[タルムーズ]クレームパティシエールとシュー生地を混ぜたものをパイ生地に詰めて焼いたタルトレット(pont-neufと同じ)
- tarte à l’badrée[タルト ア バドレ]ピカルディ由来のフランタルト
- tarte à lebadrée[タルト ア ルバドレ]ピカルディ由来のフランタルト(tarte à l’badréeと同じ)
- tarte alle badrée[タルト ア ルバドレ]ピカルディ由来のフランタルト(tarte à l’badréeと同じ)
- tarte à l’pronée[タルト ア プロネ]ピカルディ由来のプルーンを詰めたタルト
- tarte aux pralines rouges[タルト オ プラリン ルージュ]リヨン名物の赤いプラリネのタルト
- tarte au caillé[タルト ア カイエ]アヴェイロン由来のチーズタルト(tarte encalatと同じ)
- tarte au chocolat[タルト オ ショコラ]チョコレートタルト
- tarte au citron[タルト オ シトロン]レモンのタルト
- tarte au citron meringuée[タルト オ シトロン メランゲ]メレンゲを盛ったレモンのタルト
- tarte au fromage blanc[タルト オ フロマージュ ブラン]フロマージュブランを詰めたタルト
- tarte au quemeau[タルト オ ケモ]ソーヌ=エ=ロワール県ルーアン由来のフロマージュブランを詰めた甘いタルト
- tarte au quemeu[タルト オ ケム]オートマルヌ由来のフロマージュブランを詰めた塩味のタルト
- tarte au sucre[タルト オ シュクル]北フランス由来のヴェルジョワーズ糖を使ったタルト
- tarte aux fraises[タルト オ フレーズ]イチゴのタルト
- tarte aux framboises[タルト オ フランボワーズ ]フランボワーズのタルト
- tarte aux fruits[タルト オ フリュイ]フルーツのタルト
- tarte aux fruits rouges[タルト オ フリュイ ルージュ]赤い果実のタルト
- tarte aux fruits exotiques[タルト オ フリュイ エキゾチック]エキゾチックフルーツのタルト
- tarte aux pommes[タルト オ ポム]りんごのタルト
- tarte de linz[タルト ド リンツ]リンツァートルテ、クレームダマンドどフランボワーズのジャムを詰めて表面に生地を格子状に飾ったタルト(tarte Linzerと同じ)
- tarte encalat[タルト アンカラ]アヴェイロン由来のチーズタルト(tarte au cailléと同じ)
- tarte Linzer[タルト リンツァー]リンツァートルテ、クレームダマンドどフランボワーズのジャムを詰めて表面に生地を格子状に飾ったタルト
- tarte passion[タルト パッシオン]パッションフルーツのタルト
- tarte Tatin[タルト タタン]カラメルとりんごを詰めて生地をかぶせて焼いて、ひっくり返したタルト
- tarte normande[タルト ノルマンド]りんごにクリームを流して焼いたタルト
- tarte tutti fruitti[タルト トゥティ フリュイッティ]様々な生フルーツを盛ったタルト
- tartelette au citron vert[タルトレット オ シトロン ヴェール ]ライムのタルトレット
- tropezienne[トロペジェンヌ]サントロペ由来のムースリーヌクリームを詰めたブリオッシュ菓子
tarteの後に果物など名前をつけるとタルトの名前になります。
tarte au + 男性単数名詞
tarte à la + 女性単数名詞
tarte aux + 複数名詞
フランスのタルト焼き方の違い
フランスのタルトの焼き方は3種類あります。生地だけ空焼きするタルト、生地にクリームや果物などを詰めて焼くタルト、生地だけ事前に少し焼いてアパレイユなどを流し入れて再度焼くタルトの3つです。
空焼き À blanc
生地だけを空焼きする作り方をア・ブラン à blancといいます。タルト生地をしっかりと焼き、ガナッシュやクリームを流し入れて冷やして作ります。
中身と生地を一緒に焼く方法 Avec garniture
タルト生地にクリームや果物などを詰めて焼いて作る方法はアヴェック・ガルニチュール Avec garnitureといいます。
基本的にはクレーム・ダマンドをつめて焼きます。クレーム・ダマンドと果物を一緒に焼いたり、クレーム・ダマンドを焼いてその後に生フルーツをのせる作り方があります。
クレーム・ダマンドとはアーモンドと砂糖、バター、卵を同割で混ぜたクリームで、フランス菓子に使われることが多いクリームのひとつ。クレーム・ダマンドにクレーム・パティシエールを加えてクレーム・フランジパンヌ Crème frangipaneにしたり、アーモンドの代わりにココナッツやヘーゼルナッツなどを加えるなど様々なアレンジがあります。
- タルト・アマンディヌ Tarte amandine
- タルト・ブルダルー Tarte Bourdaloue
- タルト・オ・フリュイ Tarte aux fruits
- タルト・オ・フレーズ Tarte aux fraises
- タルト・オ・フランボワーズ Tarte aux framboises
事前に生地のみ焼く方法 Avec pré-cuisson
生地を少しだけ空焼きして、アパレイユなどの液体を流して再度一緒に焼く方法をアヴェック・プレキュイソン Avec pré-cuissonといいます。
牛乳や生クリームなどの液状のアパレイユを加えると生地が焼けにくくなるため、事前に生地だけ焼いて生地を焼き固めます。そうすると液体が生地から流れにくくなります。
主に、クラフティやキッシュなどに用います。
3種類のタルト生地(シュクレ生地・ブレゼ生地・サブレ生地)の使い分け、中身の焼き分けの違いについてはこちらの記事をご覧ください。
3種類のタルト生地の特徴と使い分け
例外:ブリオッシュ生地を使ったタルト
基本的にタルトは上記のタルト生地を用いたものを言いますが、ブリオッシュ生地を器にしてクリームやフルーツを詰めたお菓子も「タルト」ということもあります。
大きさや形によるタルトの名前の違い
タルトは正確には大きさによって呼び名が変わります。でも、パティスリーですべて「タルト」と言っても通じるので大丈夫ですよ。
タルトTarte
正確に言うとタルト Tarteは大きなサイズのタルトのことを指します。切り分けて複数人で食べるイメージです。
フランスには直径22cm〜30cmほどなど様々な大きさのタルトがあります。パティスリーで買う場合は、食べる人数で注文するとわかりやすいです。目安としては直径22cmのタルトで6~8人分です。
タルトレット Tartelette
タルトレット Tarteletteは一人用の小さいなサイズのタルトのことを指します。パティスリーによって異なりますが、直径6~8cm程度の大きさです。
タルトレット・フール Tartelette four
上記のタルトレットよりも小さく一口サイズのタルトをタルトレット・フール Tartelette fourといいます。プチフールにあたり、パーティなどに用いられます。パティスリーにも置いているところもあり、1つ1,50〜2,50ユーロ程度です。
[フランス語名]
タルト Tarte / une tarte
タルトレット Tartelette / une tartelette
タルトレット・フール Tartelette four / une tartelette four
バルケット Barquette
楕円形の形をしているタルトをバルケットと言います。「小舟型」という意味です。
フランス菓子タルトの名前の由来
タルトは生地を器にして器ごと食べるお菓子です。生地を器にする作り方は、古代ギリシアや古代エジプト時代にすでに行われていました。
その時代には蜂蜜やクリームなどが食べられていました。しかし、スプーンといった道具はまだないため、液体のものはそのままだと食べにくいため、粉類や水などで器を作り、その中に蜂蜜やクリームなど液体を流し入れて器ごと一緒に食べていました。
これがタルトの起源です。
タルトは古代ローマ時代に食べられていたパイ菓子の一種であるトゥルト Tourteに由来しています。現在ではトゥルトはパイ包み焼きのことで、中には肉やクリームなどを詰めて焼いた料理のことをいいます。
フランス菓子タルトの作り方
タルトのレシピはこちらをご覧ください。
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